12月9日(1日目)
「来たデ 来たデーッ」「ヤッターッ」
飛行機が着陸し那覇空港の看板が見えた時、心の中で叫んだ。バンザ〜イ。
おっとっと、子どもたちが落っこちるワ。膝枕で寝ているRと、腕からずり落ちそうなK。2人を支えとかなくちゃ。あー、でも叫ばずにはいられなーい「やったゼ 沖縄―ッ!!」
Kを妊娠した時から密かに?しっかり?狙っていた子連れ旅。
まず第一弾は、離乳食が始まる前に行っときたい。なんてったって離乳食というのはとてつもなくやっかいなんだもの。今回なら私がミルクタンクなんだもんね。
沖縄に移住した友人に会いに行って、なんなら泊めてもらってしまおう!という作戦、ステキ!
12月だけど、沖縄ならきっと南国のはず。 白羽の矢は、沖縄にピタリ。
出発の日の朝、荷物を見て愕然。あちゃ〜、持てるんかいな?
飛行機に乗ってしまえばこっちのものと思っていたけれど、乗るまでが大仕事やないの。
家族が増えるってこういうことなんや〜。
まず抱っこ紐でKを抱っこ。背中には、はちきれそうな30リットルザック。これだけですでにギブアップ!と叫びたい。両手にはベビーカーとカバン。
チョロマツのRをつなぐ手は…ないやん。空港までに電車の乗り換えや、ポートライナーといういくつかの難所。さてさてクリアーできるのか?ゲーム開始!やないねんから…。どうすべー、でも行くしかない。
と思っていると、母からメールが入る。「神戸に買い物に行きたいので、途中まで一緒に行っていい?」って、泣かせるじゃないの、お母さん。
「送っていく」と言うと、拒否する娘を知っての親心なんだなぁ。これじゃ「ジブンデ ジブンデ」って自己主張するRのこと怒れないワ。まったく、私は2歳児と同じじゃないの。もう少し素直にならなくちゃ。って自分の頭をポカッ。こんなことなら意地張らずに荷物を送るんだったなー。持てる荷物だけで旅したいって、私はいったい何にこだわっていたんだろう。
実は今回、友人のユーコ親子と同行旅。ユーコの3歳と2歳の子どもたちも一緒だ。
そういえば、前回沖縄に来たのはユーコと2人だった。もちろん沖縄に移住した友人(ある日突然?沖縄に行き、そこで結婚していつの間にか沖縄県民になってしまった)と3人で、泳いだり飲んだり騒いだり。あの時は、みんな子どももいなくて気ままだったなぁ。
今回も軽い気持ちで誘ったら、本当に「行こうかなっ」って。不眠不休でアルバイトや内職して短期間で資金捻出したユーコ、やるよなぁ〜。
とにかくスローペースでは他には負けない私たち。あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。寄り道 道草 拾い食い、泣いて笑ってケンカしてって なんでもあり。飛行場の手荷物受取所でも、すでにガラーン。待っているのはもう回っていない私たちの荷物と待ちくたびれている係りの人。「お待たせしましたー」
いくら急ぐ理由はないといっても、沖縄は遠いなぁとみんなの電池が切れかけたころ、ようやく一日がかりで友人宅に転がり込む。
「来たよ〜ん」「待ってたよ〜ん」ハグ ハグ 。長旅でぐずってた子どもたちも一気にテンション急上昇。ふゎーっ、さすがに私も動きたくなーい。今晩のオムツが足りないけど、もぅええやんな、なっ、K。頼んだで。ウ○チは最小限、しかもまとめて…ナ!
12月10日(2日目)
「どこ行きたい?」「近くの大型アウトレットモールがオススメ」って。
いやいや、ここまで来て子ども服の買い物に行ってたまるかいな。いくら安くてもノー サンキユー。
とにかく市場好きな私。まずは市場にいきたーいっ。
普段買い物に行っているという野菜市場に レッツ ゴー!こういうところは、まず間違いない。こういう地元の人のたまり場はどんな観光地よりもおもしろい、と私は思う。思った通り、ここには名前も聞いたことのないようなお惣菜や手づくりおやつがたくさん。あれもほしい、これもいいわって眼の色を変えている私はバーゲンで奮闘するオバサンのよう!?。でもやめられなーいっ。
あー、全部買い占めたいわ。帰るまでには全部味見するぞー。私の原動力はこの食いしん坊に支えられていると思うんだな。オムツの買い出しや(やっと行けた)、夕飯の買い出し、子どもの幼稚園のお迎えについて行ったり。何気ない日常のような非日常が心地いい。
子どもたちも、楽しむというよりも少しづつ何かを確認しながら順応していっているという感じ。Rが友人宅に帰ってきたときに「ここがおうち?」と聞いてきた。
「そうやで。今はここがおうちなんやで。」
半そでで窓全開のままお昼寝している子どもたちに目を細めながら、ザワワー ザワワーと音を立てる風が頬を撫でる。穏やかな時に身をゆだね、子どもたちを包み込むような目で見ている私がいる。子どもたちが不安にならないよう自然とやさしく関わり、元気で一緒に来てくれていることに感謝している。
こんなふうに毎日が流れればいい。日常から離れると、日頃の自分が見えてくる。
毎日、何をするわけでも、何かをしなくてはいけないわけでもないのにカリカリしている。私が決めた私時間で進めようとして、勝手に子どもたちを急きたてている。イヤイヤ反抗期真っ盛りのRに怒り、甘えん坊抱っこ虫のKの重さにため息をついている。子どもが時計のない国にいるのは今だけなのに…。
真夜中まで私をよく知る友人たちと語り明かしながら、自分自身の声にも耳を傾けてみる。テーマの中心は、自分がこれからどう生きるか。子どもたちにどんな人になってほしいか。普段なかなかじっくり考えることができない話題に没頭。なーんか、こんなの久しぶり。
今日この時間だけでも、ここに来てよかったと思える。今を楽しみ、愛に満ち溢れた人生を!!!
12月11日(3日目)
2泊させてもらった友人宅に、さようならの日。
一週間以内ならウエルカムよ〜」と言ってくれたのが、本気やったんやと今頃分かったりして。
案の定、家は動物園状態やし、乳飲み子がいる我が家が夫婦の寝室を乗っ取ってたし。残りのみんなは子ども部屋で雑魚寝、ダーリンはリビングのソファーで小さくなって…。2LDKは収納人数いっぱいでパンパンになってた。それなのに!居心地のよかったこと!ホンマに一週間おれそうなくらい。
だけどまぁ、6歳を筆頭に子どもが6人。これ以上続くとハイツの下の階の人が目を回してしまうかもね。
「だから一週間泊まりって言うたやーん」「何かあったら帰っておいで〜」と見送られ、次なる土地へ出発。
この後は、ビーチロックビレッジというテント村に7泊の予定。
その前に、ちょっくら市場を覗いて腹ごしらえなのだ。立ち寄ったのは牧志公設市場。
北海道はカニとイクラ一色だけど、沖縄は豚と熱帯魚?なのね。いつもながら あっちへフラリ こっちへフラリ。気が付いたら豚の頭をヨシヨシ。コリャー 売り物を触るなー。
しかも、ハイエナのように試食の前に陣取っている子どもたち。ウッ、逃げようかどうしようか…。ウウウ…「1つください」
財布を出す間にも、Kはオイデってお客さんに抱っこされてアイドル化している。「男の子?女の子?」「抱っこさせて」って。あのぅ〜その子うちのコなんですけど…。アレ?みなさんも初対面?子連れだから目立つのかな、進む先々で声をかけられる。間違いなく、ここはとってもみんなフレンドリー。
観光市場だろうという期待の薄さを見事に裏切ってくれたので、とても得した気分になる。しかも、市場の路地裏に地元民絶賛の(だって観光客っぽい人はいなかった)お惣菜屋さんを発見。
よっしゃー、私ってやるなぁ!旅モード健在! と思いっきり自画自賛。
だって、市場の艶やかな魚たちにはよだれもんだけど、あんな高価なものを子どもたちに食べられたらこの先やっていけないわ。困った時は地元民に尋ねるべしというのが鉄則?なわけで。情報収集アンテナで(フフフ)お惣菜通りに巡り合えたってわけ。で、たくさんのお惣菜をテイクアウトして平和なお昼ごはん。
のはずが、1人がまず「オシッコ」。
と言うと我も我もと「ボクモ」「ワタシモ」。うーん、仕方がない。わさわさとお惣菜を広げたままみんなそろってトイレに大移動。名付けて「おしっこ隊」。
しかも、市場を通り抜けて2階へ えっちら おっちら。
ぞろぞろとやっとのこと帰ってきて、さぁ食べようとするとまた誰かが「オシッコ」。そしてまた「ボクモ」「ワタシモ」。そして、またまた座ったと思ったら何と3回目。とうとうキレタ。「我慢しなさい!」「さっきも出んかったやろ」
でも、モレル モレルと地団太を踏んでいるRを知らんぷりする勇気は…私にはナイ。 はぁー…
Kを荷物のように小脇に抱えながらトイレに走る。道の両脇に店を構えているおばさんたちは、「また来たー」という顔で笑っている。「どこから来た?」「今晩はどこに泊まる?」「子どもは何ヶ月だ?」「預かっておいてやろうか?」笑顔が飛ぶ。
おしっこ隊を引き連れてトイレからの帰り、もう噴き出してしまった。こりゃネタや!あんたらが大きくなったら絶対ネタにしたるからなーっ
私はゲラゲラ笑い、子どもたちは地面に転がりながらじゃれ合っている。あ〜、それにしてもお腹すいたー
Rに代わって言い訳しておくと、Rは沖縄出発の一週間前にパンツになったばかりの新米パンツマン。まだまだ失敗もあったんだけど、Rは「パンツで行く」と宣言。エライ!そんでもって、私も同じくらい(か、それよりもっと) エライ。と自分で褒めたい。 ちょっぴりオムツが恋しい…のは私の本音。
けれど、沖縄にいる間に一度の失敗もなく、しかも帰ってからも完全にパンツマンになったR。やっぱり、エライッ。
車はひた走る。 いづこへ? かよわい私たちをどこへ?
って思うような原生林を車で登っていく。ウッホウッホってターザンごっこをしながらも、レンタカーを擦らないか気にしてしまう細い道。やっとこさジャングルを抜けて着いたところ、ここはまさにアジアの山奥だった。
12月12日(4日目)
おっとぉー、これはすごいところに来たゾ。うぅーむ、アヤシイ。
ここはとっても、とってもアヤシイにおい…。においだけではなく、見た目も本当にアヤシイ。建物?(造形物?)にも、そこにいる人たちにも「アヤシイデス」と書いてある。
山奥に流木や木で作ったコテージと、テントたち。受付というのは名ばかりのコテージで、触ると危険な植物や昆虫について説明も受けて、異国ムードたっぷり。
ここは、そぅ 「ビーチロック ビレッジ」というテント村。建物も食べ物も自分たちで作る自給自足がコンセプトらしい。水道も通ってないし、もちろんお風呂も五右衛門風呂。テントの裏側はガケやし、整備されたキャンプ場とは似ても似つかない。
ツリーハウスに登ったり、屋根に上がったり、木の滑り台をしたり。乳幼児には決して安全とは言えないけれど、「○○禁止」なんていう、ちまたによくある看板はここにはナイ。真っ黒のどろんこになって親子で野猿化している。
こういうこともよく知らず行った私も我ながらすごいと思う。いや、一応調べては行ったんだけど、とボソボソ。なんだか楽しそうなあやしそうなにおいがプンプンしていて、引き寄せられてしまったのだ。牧場があるから子どもも楽しいやろうし、私にとっては「何かがある」と確信していた。今の私に必要な何かが。
7日間、ここのインディアンテントが私たちの家になった。いくら狭くても、親子3人の空間というのはとってもうれしい。
ここは明らかに1つの村だ。そしてまるで基地だ。この場所を自分の手で築いた人がいて、自分たちで自分たちの生活を作り上げてしまった。
ここには色んな夢が詰まっていて、そんな人たちの不思議なパワーがみなぎっているのかもしれない。
ビーチロックビレッジのイメージソングから
〜空を飛べたらいいなんて そんなことを言うくらい
どうせ一度の人生だし 今を楽しく生きよう
ビーチロックビレッジは 夢をカタチにした場所
大変なこともいっぱいあったけど 心をこめて 愛をもって 全部乗り越えてきた
建物も 食べ物も 自分たちで作るからこそ面白い
夢を片手に乾杯しようぜ おれたちの住むビーチロックビレッジで〜
私はここへ導かれてやってきたんだと思う。
テント生活も楽しい。自然の中にいるのもうれしい。
けど、もっともっと深いところで、夢を追うことを思い出させてくれた場所。
私の魂に触れた場所。くすぶりかけていた熱い気持ちをフワッと撫でてくれた。
生きたいように生きよう・・・
12月13日(5日目)
家を出て5日目、子どもたちの緊張が少し切れ気味なんだなと思う。
Rが「母ちゃん」とひっついて泣いたり、Kもうまく昼寝ができなかったりしている。Rとも遊びたいし、Kも寝かしつけてやりたい。片方を優先すると片方が泣いて、泣いたほうをあやすと結局どちらもぐずることになってしまう。いいリズムをつかんで子どもたちとしっかり関わろう。
実際、私がある程度のテンションを維持していると子どもたちの愚図りに巻き込まれることはない。反対に言うと、ある程度のテンションを維持していないと、一緒に泣きたくなる。
子どもと一緒にいるようになって、私は喜怒哀楽の波が少なくなった。というより、切り替えが早くなったと思う。だって私がいつまでもウジウジしてると、子どもたちまで機嫌が悪くなるんだもん。人は頼られると強くなるのかもしれないなぁ。
だって、5か月児と2歳児は、食事時間だけをとってみてもなかなかハードだ。置くと泣くKを抱っこであやしながらRの口にスプーンを運び、その合間に自分も食べる。体力と気力が勝負!腕があと2本は欲しい。幸い今回、朝夕は食事を作ってもらってるので、買い出しや食事作りに追われることはない。
マクロビオティックという今話題の料理方法?で、野菜(もちろん畑で作った)が中心だ。とてもおいしいんだけど、私はせっかく沖縄にいるので沖縄の味が恋しくて、お昼に沖縄モノを食べている。
Rは…実はここに来てから強情なくらいおかずを口にしない。お腹はペコペコのようで、米(しかもマクロビなので玄米)だけ3膳くらいおかわりをしている。「たくさん食べたから褒めて!」と、とっても誇らしげではあるんだけど…。
家以外で食事をしたことがあまりないから、色んな味に慣れていないんだろう。それとも、もしかして私の手料理がおいしいということかしら?
うぅーん、Rの好物は冷奴や焼きイモなんだけど。これって料理ちゃうやん!
今回も自炊したかったんだけど、家事に追われるからと諦めた。自炊すると毎日何を食べようかということしか考えてない気がするけれど、案外そんな過ごし方も好きだったりするので少しさみしい。
でも、洗い物をしたり米をといだりする時間が子どもたちと関われる時間になっている。まぁ、今この状態で自炊してたら殺気立ってただろうなぁというのが正直なところ。
今日は友人ファミリーと3家族でちゅら海水族館へ。水族館とか美術館って、私は1人で行くのが結構好きだったりする。
興味があるものが違うしペースが一緒にならないから、と、かっこいいことを言いたいんだけど。
今日は入口から出口まで、ノンストップ!何も見れんやん!
なぜって。
入口の大水槽に貼りついて動かなかったR、我にかえれば「ハラヘッター」。飢餓状態の小ヒツジ?ライオン?に変身。ギャオギャオ ガオガオ 泣きわめきながら出口のカフェまでいちもくさんにダッシュ。あのぅ〜、入場料高かったんですけどぉ…。
腹がすいたら豹変するのは私似なのかも。うーん、それならあきらめるしかない。
毎晩、子どもたちが寝た後に日記帳を広げる。
デジカメの画像を整理しながら、今日あったことをメモし今の気持ちを綴る。コトコトコトコト 書く。
今日起こったことと全く関係のないことだったりもする。この時間が 好き。
いままでの旅と今回の旅が、この時間でつながっているような気がする。これからもきっと、この時間が続いて行くんだろうな。
12月14日(6日目)
沖縄と言えば 海だー
青い海だーっ
海に行ってキレイな貝殻拾いをするぞーい
のはずがっ!目を離したうちに子どもたち、あっという間に12月の海へジャブジャブジャブ!
おーいっ 帰ってこーい 叫んだときには海の中。
マジかー 着替え持ってきてないんだぞ〜。 せめて、服は脱いで行ってくれ〜
う〜む、さすがに私は入って迎えに行く勇気がナイ。
私の着替えなんてここにないだけじゃなくて、今履いてるジーンズ1本なんだぞ〜。これが濡れたらパジャマなんだぞー。
それにしても、なんて楽しそうなんだ〜。ウキャウキャ言いながら水のかけっこなんてしてる。寒くないんやろうか。いや、寒くないはずはない。寒いことに気づかないんだろう。
ま、えっか。ほっとこう。
寒くなったら上がってくるやろ。
こっちはこっちで、乾杯ー!
スーパーで買い出ししてきた島豆腐(もちろんでかくて四角いままのやつ。しかも温かい)にかつお節としょうゆをジャッとかけて、アムッ。うまーいっ。沖縄の豆腐って何でこんなにおいしいんやろう。もぅいらんというくらい、豆腐を食べるでー。
ふふーん、他のお惣菜も早いもの勝ちだもんねーっ
ふと気がつけばまだ1人で海の中にいるR。
肩まで水に浸かって出れなくなってる。ガタガタ震えながら「サムーイ!」って。オイオイ…
何回呼んでも寒くて上がってこれないRに、半分笑って半分怒りながら怒鳴る。「とにかく 上がって来なさーいっ!」
青鼻2本を滝のようにたらして、唇は真っ青。歯ってほんまにカチカチ鳴るんや。子どもっておもしろい
そういえばKはいつも私の背中にいるなぁ。写真もいつもおんぶで埋もれているし。今日も寒いからツライ思いをさせないようにってことばかりに気を配ってるけど、Kにも「海だよ」ってもっと見せてやらなくちゃ。Kも一緒に楽しもうな。一緒に沖縄満喫しようなっ。
今日、海で遊ぶ無邪気な子どもを見て思った。
私、心の幅が狭くなっているな…。
キヅイタトキカラ カワロウ。 カワル ドリョクヲ シヨウ。
今まで毎日の生活の小さなことでグダグダ思っていた。例えば、ご飯を食べろってRに怒っていた。
大事なことは、のびのび楽しい顔でいれること。これが一番なんだ。
子育てにのめりこんで大切なことが見えなくなっていた、と思う。私、もしかするとしかめっ面をしていたかもしれない。
楽しい顔」をいっぱいできるように、「楽しい顔」をいっぱい見れるように、毎日を過ごそう。
頭で思っても、簡単にはできない。けれど、旅には魔法の力がある。
心で感じるから。 な〜んてねっ。
忘れそうになったら、この青い海と風を思い出そう。
私はどうやら移動民族?らしい
ちびっこ2人と一緒だから、1か所に停泊してるのはとっても楽ちん。昼寝もさせてやれるし、ビーチロックビレッジを拠点にしてどこへ行こうって考えるのも楽しい。
だけど、なんだかちょっぴりもの足りなくなってきたのも事実。安定した生活よりも、寝る場所の心配をしてるほうが似合ってるみたい。というか、その過程でおこるサプライズなことが楽しいんだろうなぁ。
そうだ、どっか移動するか。といっても、どこへ行く? あいも変わらず、情報誌は一冊も持ってきていないし。
12月15日(7日目)
今日はビーチロックビレッジを満喫するぞー。
心配していた天気が持ち直し、ビュービューとテントを揺らす風とビシバシたたきつける雨も上がった。ラッキー。
午前中は3人で近所を散策、三脚も出して写真を撮ったりのーんびり。歯磨きシーンとか、何気ない写真をとるのがうれしい。テントの前をヤギや馬も人間と同じように散歩している。初めはおっかなびっくりだったけど、向こうはこちらを見向きもしない。
石窯焼のピザ(もちろん窯から何から何まで手づくり)でランチの後、本日のメインディッシュは乗馬なのだ。
乗馬といっても、どこかに行くわけじゃなく、馬小屋の馬がテントまで迎えに来てくれる。そして、周りの山が全て乗馬コースってワケ。
だってここは牧場なんだもんね。馬に乗ってジャングルに出発だ
うっほーい!私も乗るぞーい!乗馬デビューだぁ!
Rに「1人で乗る?」って聞いたら、「1人で乗る!」
よっしゃー。えらいぞーっ。強いぞー。ウシシ、これで私も1人で乗れるゾ。
でも、もちろん1人で乗りたいけど、Kも乗せてやりたい。まだお座りどころか寝返りもできんから、私の前に座らせるわけにもいかへんし。
あの〜・・・「おんぶして乗っていいですか・・・?」 なんと、OKサイン。
前代未聞じゃないかしら?乗馬する乳児、カッコイイ
パッカパッカ グラングラン パッカパッカ グラングラン。 このままどこまでも行きたーいっ。
とにかく私は大興奮。「楽しーい」「うれしーい」叫んでいる姿をあんまり見られたくないけれど、黙っちゃいられない。
あれあれ、ちょっとはしゃぎすぎたのかしら、「ヒヒーンッ!」馬に前足で立っていななかれてしまった。さすがに オットォ!
でも、子ども背負ってるほうが落馬しないような気がする。だって、絶対落ちひんぞっ!って思って乗ってるやん。ヘルメットかぶってるのは私だけやし。ベビー用なんてないもんねぇ。
相変わらず パッカパッカ グラングラン パッカパッカ グラングラン。
Kも揺れながらも背中で楽しんでいるのが分かる。すっごいいい顔。多分。一緒に乗れてよかったなぁ。
乗馬っていうと堅苦しそうだけど、ここの人たちはかなりヤワラカイ。隣の家のお姉さんにちょいと車に乗せてもらうってなくらいのイメージ。
だってねぇ、馬に乗ることが特別じゃないねん、この人たち…。馬で山を下りてコンビニにいくねんで。郵便局にも、買い物にも。馬で信号待ちするねんで。
普通に考えて、ヘンな人やん。
でも、話しててびっくりしたことがある。ちなみに、ここ牧場で働くお姉さん(あえてお姉さんと言おう)は、私よりも1つ年下だった。
「ここにいていいのかなって私の人生はどうかな・・・って迷った時期もあったけど、最近これもいいかなって思ってきた」とのこと。
傍から見てちょっと不思議かなと思っても、突き進んでるだけじゃないんやな、迷いながら選びながら今があるんやな。
ちなみにここビーチロックビレッジの創設者は只今家族4人に世界無期限旅行中とのこと。これまたビックリ!
そして私の立ってる後ろではこんな歌が流れている。
実は後ろはトイレ。そう、ビーチロックビレッジのトイレではずっと歌が流れているのだ。
5日もいると、こんな歌が頭ん中をグルグル回っている。
「今 お前 何してるの」って いつも聞くから
「好きなこと やってんだ」って 言ってやるんだ
「これから どうするんだ」って いつも聞くから
「好きなことやるんだ」って 言ってやるんだ〜
夢をカタチにするのって 難しそうだけど
できるまでやり続ければ 必ず できるんだ
ここは私にとって宝箱だった。しっかり向き合えば、道しるべがたくさん転がっている。
12月16日(8日目)
昨夜、恐ろしく雨に降られた。テントから歩いて50メートルくらいのトイレと、そのまだ先のコテージ(食事とお風呂)まで行くのにずぶ濡れ。
真っ暗で足元は悪いしずるずる滑りまわるから、2人をおんぶと抱っこで移動したり。えーんっ、雨は勘弁してくれー。
残り2泊。
天気予報もかなり悪いし、雨に降られるのはつらい。正直なところ、同じ場所に居続けると間延びしてくるのも確かだ。行きたかったやんばるの森は次回の楽しみに取っておこう。そして、次なる場所への移動を決めた。
どこって!?向かうのは、再び友人宅。持つべきものは、友だわー。
ビーチロックビレッジでの最後の朝食は、今朝ニワトリが産んだ卵焼き。
その場ではむちゃくちゃおいしい!と言ったけど、実は味の違いがよくわからないのがなんとも悲しい。トホホ。
でもちゃんと味わえるように、丁寧に噛みしめて食べる。
そして、本当の豊かさについて考える。「私にとっての」豊かさって?
これが最近の私のテーマ。
今はまだ、絞り込めないでいる。
今はただ、いいと感じることを積み重ねていくだけ。見えてくる時がきっと来るはず。 雨も降ってるし、パイナップルパークに寄る。子どもたちが喜ぶかなと思ったんだけど。疲れたぁ…
たった1時間余りだったのに、もうクタクタ。流れ作業のように記念写真のために並ばされた時、思わず「うちは撮りません」って。周りもキャーキャー ワーワーやし、進路通りに進まないといけないし。って、テーマパークなんやから当り前なのにねぇ。
ふぅぅ。
人口密度の低い自然と一体化した場所にいたせいだろうけど、人ごみと喧騒に息苦しくて。といいつつ、食べ放題のパイナップルをたらふく食べたのは誰やねんっ。テヘヘ。でもRも、パイナップルジュース以外はどうでもよさそうだったから、きっと山でたわむれ、海で貝を拾ってるほうが楽しかったんだろう。
ま、友人宅が近づくとあっという間にテンションアップ!今夜は久々に好きなもん作って食べれるんだもんね!わーいっ
買い出しバンザーイ!
豆腐や軟骨ソーキ、もずくやシーラ(魚)、沖縄そばも買っちゃうよーん。他には何を買おうかしら〜。ランランラ ラーン。
ただいまー」「おかえりー」「帰ってきたよー」
ほんまに帰ってきた感どっぷり。
「おみやげ買ってきたよー」って、友人のダーリン。コレって、ヤギの刺身ですかい!?う〜む、さすが沖縄。
今日は 食べるデー! って、いっつもやん!
12月17日(9日目)
今日は探検ごっこに出発。
大発見!お散歩ってこんなに楽しかったんや。
天然水族館で不思議な生き物たちに目をパチクリ。ウンチングスタイルで磯だまりを覗きこんでいる姿は大人も子どもも関係なし。「何か見つけるぞー」って子どもと本気で張り合ってしまう大人げない私。
怖いもの見たさっていうの?やたらヘンなものばかり探してしまうのはなぜ?。
黒い長い生き物をつかんで 「うんとこしょ どっこいしょ」 「それでも抜けませ〜ん」って。「ヌルヌルで気持ちワルイー」と叫びながら引っ張ってたけど・・・
あれってもしかしてウミヘビかも?。ひぇーっ。
貝殻のおみやげもできたし。これはきっと宝物になるなぁ。海のお散歩、やみつきになりそう。
お昼ご飯は、海辺のてんぷら屋さん。
ふぅーん、てんぷらかぁって?
ここのてんぷらをなめちゃーいけません。この奥武島、別名をてんぷら島と呼ぼう。(命名:私)
確かに、私も初めは ふぅーん、てんぷらかぁだった。けど、見てビックリ食べてビックリ。なんと、Kの顔よりもデカイ巨大てんぷら。これがまた、サクサクでいくらでも食べてしまう。
この小さな島のさびれた所に人は来るのかしらって感じなんだけど、どこからか人がやってきて、てんぷらを買っては去っていく。オジサンオバサン、工事の仕事風のニイチャン。この島の人たちの主食はてんぷらなんじゃないかな、多分。とにかく食べてみるべし。
私は次回に来る場所は1つ決まった。「大城てんぷら店」。
この場所は私が大好きなにおいがする。てんぷらのにおいもいいんだけど、今はオーラの話。
貧しいけれど、豊かな感じがする東南アジアの昼下がりみたい。やたらと落ち着く。外のベンチで海を見ながら、ただそこにいるだけの時間。贅沢だなぁ〜。
うっとりしていると?もとい、お腹がいっぱいで動けずにぼーっとしていると、子どもたちは自動販売機のジュースを入れ替えに来たお兄さんにまとわりついて中をのぞかせてもらっている。
お仕事のお邪魔虫しちゃってるよ〜 と思っていたら、おっとどっこい。お仕事中のお兄さんが去り際、子どもたちにジュースをくれた。
そんなのあり?
ここにはここの時間が流れている。
12月18日(10日目)
「果物って買って帰れるん?」ってオイオイ、ここは日本なんですけど。
というくらい、異国チックな市場で品定め。心置きなく食べ残しのないよう。。。
でも実はRが、お腹をこわしている。変なもんを拾い食いしたんだろうと思っていたけれど。
そういえば新型インフルエンザに備えて、手洗い石鹸や除菌スプレーを持参してたのに出番なし。というか、牧場や海ではインフルエンザは気にならなかったもんで。食べる前に手を拭くことさえもしていなかったわ。
しかも私、授乳する時にも手を洗っていない…
でもみんな最近特に、清潔・清潔って言いすぎじゃない?
どろんこ遊びの手で、手づかみ食べぐらいへっちゃらと思ってたんだけど。。。 とは言っても。ビーチロックビレッジで「クロマメー」と集めているものを見たら、なんとヤギのウ○チだったなー。OH! NO!!言い訳無用かしら。
Rは飛行機でも何度もトイレに行き、お腹が痛いと泣きながら寝てしまった。
「落ちてるのを拾って食べるからお腹痛くなったんやで」って言うたけど…すまぬ2歳児。
拾い食いを見て見ないふりして半分あきらめてたのも、ちゃんと手を洗おうと言わなかったのも母ちゃんです。(懺悔コーナー。)
おまけに私は結構何を食べても大丈夫やしお腹が丈夫やなのが自慢やから、下痢止め薬も買わなかったなぁ。
自然治癒力でなんとかなるやろって。
で、子どもたちが寝てしまったのをいいことに、私はおみやげに作ってもらったサーターアンダーギーをほおばっている。
う〜ん、こんなん夫が見たら引っくり返るやろなぁ。
今回も「沖縄行きたい」って言ったら「1ヶ月くらい?」って有り難い言葉やったけど。まぁ、1カ月は無理でもまた行けたらいいな。この10日間で、この子たちとならどこへでも行ける、そう思った。
そしてこの10日間で私は、ちょっぴり(一応、謙遜しているつもり)脱皮したように思う。まぁ、そういうつもりになっているだけなのかもしれないけれど、そう思えるのもヨシということにしとこう。
沖縄の風に吹かれ、友人たちと語らい、周囲からたくさんのエネルギーをもらって、いっぱい深呼吸して背伸びした。そうしてるうちに、肩の力が日を追うごとにそぎ落とされていった気がする。
出発前には、肩の重みにさえ気付かなかったのに。
ありがとう。周りにいてくれた人たちにも、出会った環境にも。なんだか、そう言いたい気分になっている。
ふふふ。よかった。
よく分からないけれど、とってもよかった。
みんなに ありがとう。
次に行く時は、Kも歩いていっぱいお散歩しような。
次回からはちゃんと?下痢止め薬持参!
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