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ひろちゃんの大山振子沢 山スキー記
2006年03月18日(土)

■形態: 単独 山スキー
■日程: 2006年3月18日(前夜泊)
 6時30分  :奥大山スキー場出発 (鍵掛峠までは除雪済みでゲートは開いていた)
 6時45分  :登山口からスタート
 8時20分  :1405m小ピーク
 8時50分  :駒鳥小屋
10時45分  :振子沢途中からドロップイン(手元の高度計で1600m)
11時     :地獄谷・振子沢分岐・駒鳥小屋
13時     :下山
1405m小ピークから
槍尾根・大山南壁を望む
烏ヶ山の双耳峰 駒鳥小屋の端っこ 振子沢の上部
ここから約45分後に
ドロップイン

行ってきました大山振子沢 山スキー

何年も前から気になっていた大山の振子沢へやっと行くことが出来た。
大大大大満足の1日。でも、アクシデントも続出。

「シーズン中だし誰か入ってるかなー」と半分期待しながらの登山口は、先日降った雪でトレースは消えていた。
半分うれしく半分心細くなる。

まず、登山口から30分。気付いたらザックにつけていた時計を落としていた。
お気に入りでお守り代わりの時計がぁ。『行くなっていうことー?!』ますます心細く。

時間も気になりながら引き返すと、『あったー!!』あーん、よかったー。スリスリ。 
 お天気もよくガスもなかったのでまずは目指した1405mの小ピークに到着。
ここからは大山の南壁が美しく、とても高いところにいるように感じる。槍が峰がすぐそこに見え、インターネットで見ていたキリンの鉄柱を目を凝らして探したが、見当たらなかった。
そこから滑ったという記録があったのだが、私には槍尾根を行くのはとてつもなく無理だと一目で分かったので、予定通り駒鳥小屋経由で振子沢に向かうことに。


 今回何日も予備日はあるのだが、明日以降天気が崩れるとの予報なので、一番行きたいところが最優先だ。

先週はその1405mからキリン沢を滑ったのだが、今日は鳥越峠方面のコルへ滑り込んで駒鳥小屋へ向かうという始めてのルート取りをする。
このコルへの斜面が急な上にアイスバーン気味だった。なのに、誰も滑っていない斜面に思わずアドレナリンが噴出、抑えがきかず滑り込んでしまう。
1人のときは抑えて滑るようにしてるのに・・・案の定というか、思ってもいずというか、ターンで頭からずっこけかなりの距離を滑り落ちてしまう。
目指したコルの手前で傾斜がゆるくなりやっと止まったが骨でも折れたらどうしようかと思ってかなりびびった。

案の定ポケットに入れていたオークリーのサングラスが真っ二つに破損、レンズはカラカラとアイスバーンの上を滑って消えた。
おかげで、雪目になってチカチカして参ったがでもケガがなかったからヨシかな。

ちょうどコルから滑り込んだ所が駒鳥小屋の上で、初めて切れ端だけ出た小屋を見る。
そこから地獄谷をほんの少し上り返して振子沢の分岐、ここに1人で来れたことがとてもうれしい。 
天気も安定してるし、上まで行くぞと登りにかかる。

 だんだん烏ヶ山が同じ高さに見えてきて稜線ももうすぐだけど、シールで上るのもギリギリ、行けるまで行こうと思っていたところ、いきなりガスが一面を覆い尽くした。
一瞬にして右も左も上も下も分からなくなり平衡感覚がなくなってしまう。もう少し登ろうとするが、ヤバイこれは無理だ。
周りは真っ白で風も一気に出て来た。下りるしかないがどっちに滑っているのか分からずフラフラしているような気がする。

横滑りするにもシールが引っかかるので、シールを外したいのだが、エッジで立ってるので板を脱いだらまっさかさまなのは間違いない。
しばし考えたけれど、どうしてもシールは外したいので、エッジを立てたまま座り込んでシールを外すことに。

 というわけで、スキー板をはいたままシールを外すという新技をあみだした。ストレッチがこんなとことで役に立つとは・・・
横滑りでズルズルと緩やかな所まで下りたら、ホッ。後は振子沢の雄大な滑りを楽しんだ。
できればパウダーの時に来たいと思うのは贅沢か。
 せかせかと来た道を戻りながら、1人で来てると帰れることが分かっていても早く登山口に戻りたくなるのは何でかなぁと考える。
せっかく来たし、目的は達成したんだからゆっくり山にいる時間を楽しんだらいいのに。

スキー場の音楽が聞こえるところまで戻ってくるが、またまたここからが重労働。雪が重くて重くてターンができず、今日一番しんどいところ。
スピードも抑えられないし直滑降していると。バーンッ。ここで、真正面から木に激突しはね返るようにしてひっくり返る。
穴に片足がはまってバランスを失ったすぐ先に木があったのだ。胸を強打して倒れたのに、頭がクラクラして脳震盪状態で立ち上がれない。

息をするのも痛くこの日から1ヶ月近くたっても笑うときは胸を抑えないと痛んだ。
ヒビがだったんじゃないかと思うが。翌週も翌々週も鼻もかめないくらい痛いのに山スキーに行った自分はスゴイと思う。

 「あー、やっと林道に着いた〜。だけど、まだオチがあった」
車がない。ちょっとずれた所へ下りてきたようだがそう離れてはいないとは思う。
でも、もし反対側に歩いたらしんどいなぁと思い、奥大山スキー場から来た車に尋ねた
「スキー場からここまでの間に車止まってました?」・・・
「なんやこの人―!?」って目を感じてシマッタと思ったけど遅かった。
あやしまれたのか、心配されたのか
「どこからきたんや」「なんで車はないんや」「1人で山から来た?」など質問攻めに合う・・・
結局「歩く」と言ったんだけど車の置いてるところまで乗せてもらことになる。
ヒッチハイク?となった車の主はなんと昨年までのおまわりさん・・
慌ててシートベルトをカシャッ。どうりで色々尋ねられたわけだ・・・納得

 当初は3、4日、停泊して滑りつづける予定だったけれど、天気も雨に変わってしまったし、今日で満たされ、明日また滑る気も見事になくなった。
「満腹の状態。温泉にもつからずさっさと帰って晩御飯を食べることにしよう!」

車に大量に積み込んだ車中泊セットも前夜泊のたった1日使っただけだったけど、私にとっては小冒険を味わった気分。
これだから山スキーはやめられません。

小さいけれど楽しいこと、これからも積み重ねていきたいナァ。