山も川も行こう>ひろちゃんの大山振子沢 山スキー記

ひろちゃんの四万十川カヌーひとり旅
期間04年4月29日〜5月5日 
〜源流点を探して下流まで行こうの巻き〜 
四万十川源流から
四万十川添いに走る
約150kmの道のりだ
1泊目はツエルトで寝る
四万十川源流の碑近くで
四万十川源流点で
さぬきうどんを食べる
「こりゃサイコー!」
4時間かけてやっと
組立て完了!
「でも私ってシロウト?」
ここからカヌーに。
MTBとはお別れ
「後で迎えに来るよ」
アメンボウのような私
さて私はどこに
いるでしょう?
毎晩釣った魚を焼いて
ビールのアテに
「もうたまりません!」
川えびをとる
おじさん(プロ)発見
「食べたかったなあ〜
さぬきぶっかけうどん
「ううう・うまい!
もう一杯!」
新たな旅を予感させる
夕陽が妙に眩しかった
「次はユーコンってか」

目的    四万十川の源流を確認して四万十川を下る
       私の冬の北海道ツーリングの時に掲示板で励ましてくれた自転車小僧さんとの再会キャンプ(前回は明石の焼鳥屋で)
期間
    04年4月29日〜5月5日 6泊7日
遊び具  カヌー   MTB
形態    カヌーとMTBで移動、泊は野営(キャンプ)
移動距離  約215km(カヌー35km・MTB180km)
                  
4月26日  カヌーを宅配で現地に
       ロールアウトでカヌー組み立て講習?後カヌーとキャンプ道具を四万十川カヌー館(西土佐村)宅配便で送る

4月29日 MTBを輪行して高知入り後MTB約30km
       
三ノ宮から高速バスで高知駅→JRで土佐新庄駅→MTBで四万十川源の碑18:30へ・ツエルトで野営

4月30日晴  MTBで150km
       四万十川源流の碑6:30→徒歩で四万十川源流点へ7:30(源流水さねきうどんを作る)
       源流の碑8:15→MTBで四万十川添いにカヌー館17:30へ・キャンプ 

5月1日晴   カヌーで5km
       カヌー館15:00→津大橋手前付近の河原16:00へ・キャンプ
       (不慣れなカヌー組みたてに4時間程費やす・MTBはカヌー館に預ける・有料)


5月2日曇   カヌーで15km
       津大橋手前10:00→口屋内近くの川原15:00へ・キャンプ

5月3日雨   カヌーで15km
       口屋内近くの河原9:00→佐田沈下橋14:00へ・キャンプ

5月4日雨   車で移動(車で四国入りのR/O仲間の車に便乗)
       佐田沈下橋→四万十川橋(赤鉄橋)移動・再会・合流キャンプ

5月5日晴   さぬきうどんを満喫
       カヌーとMTBを仲間の車に積載して帰路
       (帰路途中今回貸していただいたカヌー持ち主の友人に「譲ってほしい!」と交渉)



 旅のはなし(詳細)

行き先は四国。ロールアウトの掲示板で決まった。
特に予定のなかった大型連休、お遍路ツーリングに行く自転車小僧さんと四国の地で再会することにしたのだ。
私はどうやっていくことにしようか、また考えるとしよう。
またまた大型連休2週間前、いきなり思い立った。手にとった雑誌に、人のよさそうなおじさんとハデな色の魚がきらめいている。
こんな所で釣りをしながら、あちこち渡り歩けたらいいなぁ・・・
ピカリ−ン!ええやんか、ええやんか四国もカヌーで行ったらええやんか。
四国には四万十川とかいう有名な川があったやないの。そこで合流キャンプをしよう。
すっかり心はカヌーイスト。数分後には、友人のリバーカヤックを押さえた。

自慢じゃないが、私のカヌー歴はシーカヤックで約2時間。知識はゼロに等しい。四万十川で1週間は川の中に浸ろうとうきうきしていた。
だが、日本には一週間も下れる川はないと聞きガックリする。
上流からは流れもきつく、下るのはかなり困難とのこと。
川の途中から2,3日か・・・そんな中途半端な・・・それならば決めた、先っちょから行こう。
上流よりも、もっと上、四万十川の源流を探しに!そして、四万十川を源流から下流まで下るのだ。
上流は、歩きもいいし自転車もある、カヌーで下れそうな所からはカヌーにのりかえよう。
こうして、私の第1弾、四万十川源流から、自転車とカヌーで下流までいく旅は始まった。

4.29晴
 ふりそそぐ光がここは南国だと告げている。チャリの輪行バックと私は、高知の地に乗り入れた。
今回は、フロントバックを付けリアキャリアにザックをくくるだけなのでかなり身軽だ。
まずは腹ごしらえと思ったが、到着したJR土佐新庄駅は無人駅。売店どころか改札もなかったが、自転車を組んで少し出た所にすぐ道の駅を発見。
ジュジュジュジュ−っと炎の上がるかつおのたたきに吸い寄せられ、試食したとたんに叫んでいた。
「一人前ください。」加えて、かつおのまぜご飯。さすが、かつおの国高知県、もう一人前くらい食べれたかも。
出発できなくなりそうなので、かなり頑張ってビールは止めておいた。
通りすがりの子どもに犯人扱いされたり、地元のおじさんに通報されたりしながらも、どうにか日暮れまでに四万十川源流の碑に上りついた。
実際、お手製日よけグッズはかなり怪しさをかもし出していると自分でも思う。
今夜は、この空き地で手のひらサイズより小さなツェルトを広げ、下半身はザックに入って眠ることにした。
お世辞にも、快適とは言えないが・・・あっという間に川の流水音が遠くなっていった。

4.30晴

 目覚めると辺りは明るくなっていた。どんな状況にも対応できる睡魔は私の自慢だ。
早速ザックにバーナーとガスを放り込み、「源流点⇒」の看板に向かう。
ここからは、自転車は連れては行けそうにない山道である。何度か川の流れを横切り、苔むした山道を30分ほど登っていくと、あったではないか。四万十川源流点。
流れ落ちる源流水で、違いが分かる本格派コーヒーもいいけれど、ここはやっぱりさぬきうどんでいこう。
しっかり昨日のうちに仕入れてきてあるのだ。四万十川源流水で讃岐うどんとかけてー。
ままごとセットのようなガスは静けさの中でゴーゴーと音を立て、私はお気に入りのチタンコッヘルで讃岐うどんをズズズゥッとすすった。
ここから旅は始まるのだ。(とっくに始まっているけれど)
昨日1時間以上かけて押してきた林道を、あっという間にくだり、川沿いを行く。
私は、あまり景色に感動を覚えないと自分では思っているのだが、(いつか人生が変わるような感動の景色には出会ってみたいが)ここの風景は、確かに心に染み入るように思う。
川があって人々の暮らしの成り立ちが感じられ、温かい。この風景は、私を何度も立ち止まらせ振り向かせた。
いやしかし、コンビニ生活に慣れているためか、随分長く店がなかったのには驚いてしまった。
一応川沿いの国道を走るので、全く食料を持っていなかったので。
やっとのことで奥でおばさんが座っている商店でパンとアイスとを購入、沈下橋に座って四国の風景にとけこむ努力をしてみたが、
なんか走っているほうが自然に周りの景色と同化できている気がする。
日程には余裕があるので、どこかの河原かキャンプ場でゆっくりする予定だったのだが、人通りがあるところでもう1泊、
例のツエルトスタイルで寝るのはさすがに阻まれる。もう少しもう少しと距離を延ばしているうちに、安心して眠れるテントが恋しくなってきた。
下流へ向かっているペダリングも手伝い、150キロ走ったカヌー館で恋しいテントとの再会を果たした。
実は、カヌーやテントは観光協会カヌー館に一足先に旅立っていたのだ。

5.1晴
今日は、ビックイベントデイ。最大の山場と思われる、カヌー組み立てだ。
のんびり寝坊していたら、昨夜いたカヌー組っぽい人たちはもうほとんどいなくなってしまっていた。
見渡すと、出発しそうなのが1組。あれを逃す手はあるまい。
急ピッチでテントをたたみ自転車に引っ掛けて河原に移動、お兄さんたちの横に場所を陣取った。
しましたよ、組み立て予行演習も。1回だけど。さすが結構この成果も発揮し、2時間弱でほぼカヌーの形になる。
まぁ、カタログの組み立て時間は十数分だろうけど。
しかし、ここからだった。最後1本のポールが入らないし、カバーのチャックも締まらない。
組みなおさないといけないというお兄さんたちに、浮かんだらいいので何とかしてと頼むが、三人がかりでもお手上げ状態。
これでは今日中の出発は危うい。もう自分で何とかするしかない、借り物だったことも忘れ、
(ごめんオガワッチ)カヌーの上に乗り、大奮闘の末火事場の馬鹿力でチャックを引き上げることに成功。
やったぁ、完璧!お気に入りのキャンプ道具一式を積んだ豪華客船?カヌー丸は無事に離岸し大河に旅立った。
今日は漕ぎ出せたことで大満足、後のカヌーの楽しみは明日以降に置いておこう。
今からはもう一つの楽しみがあるのだ。30分ほどで周囲を森に囲まれたような河原に漂着し基地とする。
そして辺りが薄暗くなりかけた頃、石ころの囲いをした小さな焚き火で、釣ったばかりの魚を焼き至福の空間を味わっている私の姿があった。
気分はすっかり川の旅人である。

5.2晴

いったい何十羽、何百羽いるのだろう。さえずりと言えたものではない、大合唱だ。
ホーホケキョ、チケケケケケ、ピヒョヒョヒョ、キョッキョッキョッ、ピョー、グエッ!?
テントを張り、川の横でたった2泊しただけなのに、朝目覚めると私は河原が大好きになっていた。
テントは、私にとって眠るためだけの道具ではなく、その空間に身を置くことができる魔法の部屋となっている。
さてさて、カヌー歴2時間の私がどうやって1人で川を下るのかは自分でも見ものである。ゆるいといえど瀬を下るのだから私にとっては大冒険だ。
ザザザザーッと瀬の音が聞こえるとまず、@誰かこないか後ろこぎをしながら待つ Aサングラスを外して行く人をよく見ておく BGO! これでOK。
でも、@がクリアー出来ない場合、大騒ぎだ。カヌーが後ろ向きに進んだり、浅瀬に乗り上げたり、あげくの果てにルートを間違ってカヌーから降りて引っ張ったこともあった。
でも、チンしてる人も見たけど私はしていないぞ。スキーのスーパーボーゲンのイメージで、オールを手ごとズボーッって水中に入れてバランスをとっていた。
カヌーって、スキーや自転車となんだか勝手が同じなのだ。体はってるけど、こんなんでいいのかなぁという疑問は少し残るが。
あそこはいいよと教えてもらったキャンプ場にさしかかると、河原はテントでごったがえしていた。
まるで涸沢のようだ。横目に見送り、今夜のベースをさがして漂流を続けることにする。
「どこまでですか?」「多分あっち」指差されたのは下流の方向。こんなのんびり旅ができるのもカヌーならではの楽しみかもしれない。

5.3雨
昨夜からの雨は、朝になっても降り続いている。
私は、多分それほど雨が嫌いではなく雨には雨の楽しみ方があるように思う。が、カヌーも3日目に入ったので違う風景でより新鮮だっただけかもしれない。
しかし実際、四万十川は霧霞み幻想的な風景をかもし出していた。
私は漕ぐ手を休め、流れのほとんどなくなった水上にふんわりと浮いて水面を眺めていたりした。
カヌーの先端は水面に何ともいえない弧を描く。同じことの繰り返しなのだが、いつまでも目が離せず、こんなにも穏やかに時を過ごしている自分が別人のように感じた。
それに、川下りは沢登りとわくわく感が非常によく似ている。
あのコーナーの先はどうなっているんだろう、次の瀬はどんな感じだろうか、幕営のポイントはどこに置こうなど。
カヌーの技術はイマイチだけど、過ごし方の違和感がないのは、沢経験のおかげのような気がした。
この辺りからは、船頭さんつきの屋形船が行き来しており下流が近づいてきたことを感じさせる。カヤックもほとんどいなくなってしまった。
多分昨日のテント村までがほとんどだったのだろう。
「おーぅいい」切り立った壁面を目で追うと、随分上の木の間から道路が見え人らしきものがいる。
別途車で四国入りしているR/O仲間が私を発見したのだ。肉眼では分かりにくいのに声は反響し、「はーしーでーっ!」とすぐ下の沈下橋で合流に成功。
その時に撮ってもらっていた写真は、まるで私はカモにしか見えず大笑いしてしまった。
自然の中に入れば、こんなにもちっぽけなものなんだ。

5.4雨
今日が、この旅の本来の?目的、合流キャンプの日である。
大雨、風の吹く中、我々は無事に再会を果たし四万十川大橋の下でこいのぼりを眺めながら、焚き火が始まった。
別名、キャンプ道具自慢大会、それぞれがお気に入りのグッズを取り出しながらビールの栓が空いていった。
釣りもしたかったのだか、昨日雨の中糸を引っ掛けて切ってしまったので残念ながら竿も用無しになっている。
今回は、初めて毛ばりたるものを準備してきていたのだ。何を隠そう私はミミズが大の苦手なのである。
カヌーの中でミミズをこぼしたり、釣った魚の口からでてきた時には気絶もありうるかも。
次回は毛ばりに加え、隣りのお兄さんが釣っていたルアーにも初挑戦してみよう。後で聞いたのだが、私の釣った魚は別名「猫またぎ」とも呼ばれ、猫でも食べないとされる代物らしい。
道理で、雰囲気は抜群なのに食が進まなかったわけだ・・・食べ物に不自由せず、焚き火キャンプをするには、カヌーの腕はそのうちどうにかすることにして、釣りの技術革新が必要かもしれない。
実際、1人で川の中にいると人嫌いのわけではないのだが、陸に上がって買い物するのが億劫になってしまう。今日のように、旅の一環として人に会うのは楽しいのだが。
そうこうするうちに夜はふけ、私はこの日から1週間ほどビールが飲めなかった。

5.5晴
 やっぱりこの旅は讃岐うどんで締めよう。讃岐うどんで始まり、讃岐うどんで締める。
ただ単に食べたくて仕方ないだけなのだが。
昨日と打って変わってまぶしい緑に目を細めながら、先日はこの下をくぐっていた沈下橋から川を見やる。
手を伸ばせば届きそうなくらい水面が近く、川をおだやかに受け入れとても身近に感じる。
何日か川の側にいるうちに、川を感じることができるようになったのかもしれない。
しかし、帰り道中で出会った吉野川、ここがまたまた心にヒットした。
切り立った渓谷に水しぶきが炸裂している。
じっとしていられず、川を見下ろしたその場から今回この四万十川用に貸していただいたカヌーの持ち主オガワッチに商談交渉を開始、このカヌーは私のもとに嫁いでくることになった。
次はここや。今度来るときは、川の中からこの場を見上げることになるだろう、自分のカヌーを操りながら。


あとがき
カヌーの旅、ましてや一人旅をするとは全く想像もしていませんでしたが、自転車や徒歩とも組み合わせが出来、新しい遊びの発見です。
気が付いたときから、山遊びが中心の生活でしたが、カヌーをゲットするとは。
でも、何も枠を作ることはない、自分が楽しめればそれでいいんだと思います。
四万十川の源流から河口まで自転車とカヌーで行くとかいう、人にとっては無意味な行動でも。
旅じゃなくてもなんでもそうだとは思うけれど。
実は、次回は何と無謀極まりなく数ヵ月後にユーコン川付近(決まってない)をカヌーで旅ってみようかと計画中です。
楽しむための労力をつぎ込めること、これって最高の幸せだと思っています。